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Microsoftは、簡単かつ安全に自動運転車をトレーニングする方法を開発者に提供するため、AirSimをUnityで利用できるようにしたことを発表しました。最近、自動運転車の進歩に注目が集まる一方、この分野の研究開発には大きな困難が伴うことがあります。所在地にもよりますが、公道での自動運転車のテストやトレーニングは難しいだけでなく、完全に禁止されている場合もあります。安全性への懸念から、米国のほとんどの地域や世界の多くの国では公道での自動運転車の走行は違法とされています。しかし、数多くのコンピュータビジョンモデルを機能させるためには、高品質のAI教師データやトレーニングを実施できる環境が必要です。プロジェクトの範囲と規模によっては、Microsoft AirSimが理想的なソリューションになるかもしれません。
Microsoft AirSimとは?
Microsoft AirSimは、オープンソースのロボット工学向けシミュレーションプラットフォームです。教師データを作成するための新たな方法と機械学習モデルのトレーニング空間を提供することを念頭に開発され、コンピュータビジョンの開発に役立つ多数の機能や要素を備えています。このプログラムは2018年後半にUnityと連携しました。

AirSim_CarEditor
Microsoft AirSim car editor
機械学習と業界トップのゲーム開発プラットフォームの融合
Unityは、『RollerCoaster Tycoon World』や『ポケモンGO』など数多くの拡張現実・シミュレーションゲームの構築に寄与したビデオゲーム開発エンジンです。Unityエンジンは2D、3D、AR、VRの開発に対応しています。このプラットフォームの驚異的なグラフィックス機能はビデオ業界で高く評価されており、シミュレーションや自動運転車のトレーニングには理想的な仮想空間です。
ミラノに拠点を置くスタートアップVR企業Oneiros(オネイロス)が制作した、リアリスティックなスカンジナビアスタイルのVRモデルハウスからも、Unityエンジンのグラフィックスの性能の高さがよくわかります。
Microsoft AirSimを利用することのメリット
現実世界で自動運転車やドローンをトレーニングするとかなり費用がかかる可能性があるだけでなく、多くの場合、仮想トレーニング空間では存在しないリスクが生じます。
リスクフリー: 仮想空間でアルゴリズムをテストすれば、現実世界でテストする前に問題やバグを解決できます。また、仮想空間でトレーニングする場合は、トレーニングする場所を見つけたり、構築する必要がありません。ドローンやカメラ、車両などのハードウェアをトレーニング中に破損する心配もありません。
リアリティ: Unityプラットフォームを利用したMicrosoft AirSimでは、レンダリングされたテスト空間や環境が非常に詳細かつリアルです。影や反射を調整して最適な環境を作り、アルゴリズムをトレーニングして細かい視覚情報を認識できるようにすることが可能です。
強力なツール・適合性: Microsoft AirSimは、様々な種類の一般的なロボット工学プラットフォームに適合し、エピックゲームズが開発したUnreal Engine 4エディタのプラグインとして機能します。Unityはアセットストアに大規模なコンテンツライブラリを誇り、C#を利用した開発が可能です。WindowsおよびLinux両方のオペレーティングシステムで実行できます。
Microsoft AirSimへのアクセス方法
AirSim on Unityはまだ開発の初期段階であり、現在ベータ版として公開されています。とはいえ、Githubでアクセス可能であり、完全なインストールおよびビルド手順が提供されています。